ポートフォリオの撮影にともない組み立てました。
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ポーンver.2(続き)
ポーンver.2
現在チェスセットのポーンを新規に作り直しています。
ポーンは駒の中でも最初のほうにデザインしたものだったので、制作が進むうちに色々と不満点も出てきました。
新しいデザインは全体的にシャープにし、また実際の甲冑を見ながら角飾りなどは多少現実味のある形に修正しました。
そして今回リメイクするにあたってひとつ挑戦したもの。
別パーツによる稼働化で、フェイスオープンを再現することです。
ギミック的な面白さと、もう一つはマスクの格子部分を透かし彫りにすることによって立体感を出すことを目的としています。
稼働部分をガタツキをおさえて綺麗に構成するのは意外と難しく、微調整を繰り返しながらようやく形になってきました。
これが上手く完成出来れば、キング、クイーンの駒も可動式で新規にリメイクするつもりです。
オリジナルチェスセット─完成─
卒業制作展が終わり、大学生活ももう終わりが近づいています。
四年間の総まとめである卒業制作展でしたが、納得のいく形で無事終えられた事で、四年間を無駄にせず締めくくる事が出来ました。
今年一年は大学に残って、向こう半年は公募展への入選を目指してチェスセットの手直しをしながら、販売を視野に入れた作品を制作していくつもりです。ようやく自分らしい作品が見えて来たので、今はとにかく沢山制作をしたいと思っています。
作品は完成してある程度満足したとしてもしばらくするとすぐに手直ししたい個所が出てくるもので、昔の作品などは今見ると粗ばかり気になってしまいます。けれど昔の物をみて足りないものが分かるという事は確実にその時の自分より成長出来ているということなので少し嬉しくもあります。
特にこの作品は長い時間と費用、そして絶対に造りたいと思う気持ちが詰まった作品なので、今後も色々と手を加えていくと思います。これから活動を続けていく上で、私にとっては看板のような作品なので、その役目にふさわしい作品として、成長とともにその時の自分が常に納得できる作品にしていきたいと思います。
これでひとまず卒業制作記は終わりです。次回からは私の過去の作品と、新しく作っていく作品を載せていくつもりですので今後ともよろしくお願いします。
ポーンの制作─続き─
ポーンの制作
私は元々チェスが好きで、いつか自分でチェスセットを作れたら素敵だろうなと漠然とした憧れを持っていました。そして今回、大学の3年間を通じて学んだ造形のスキルを試す意味でも、チェスという題材にチャレンジすることにしたのでした。
チェスを作る上で一番のネックはやはりその個数です。ポーン8・ナイト2・ビショップ2・ルーク2・クイーン1・キング1が2セットで合計32個の駒を作らなければなりません。そして今回はチェステーブルも作ることにしたので一つの作品としての作業量は今まで経験した事のない、自分にとっては膨大なものです。
まずはコンセプトを決め、デザインを固めます。
現在最も一般的に見られるチェスは、スタントンタイプと呼ばれる型で、チェスが世界的な競技として統一されたころ、オフィシャルな駒の型として定められたものです。抽象化された分かりやすいデザインと、適度に量産に向いた形が特徴で、個人的には好きですが、せっかく一からデザインする機会ですので、今回は甲冑などを参考に、具象的なデザインを模索しました。
次にエスキスと呼ばれる油土などを使った試作品を作ります。
黒い部分は造形用の油土です。ちなみに私が使っているのはレオンクレイという粘土です。油土はシリコンで型取りする時などにも使え、極端にゴミなどが混ざったりしなければ何度も使えるのである程度持っていると重宝します。
駒に使う素材は錫と木材です。油土の部分を錫に置き換え、木の部分はニスか合成漆で仕上げる予定です。
大体のデザインが決まったので今度は原型を作ります。兜の部分を均一にしたかったため、旋盤加工で削った木材をベースとして、パテとプラ板で造形しました。
最初の段階。全体的にアンバランスさが目立ちます。これを少しずつ修正しながら、ベストな形を模索していきます。
マスク部分を彫り込んでらしくなってきました。これに装飾を加え、角飾りのバランスを調整します。
一応完成です。これを元にシリコンで型を作ります。
シリコン型が半分出来たところ。この後、離型剤を塗って再びシリコンを流します。シリコンは離型剤を塗らないと完全にくっ付いて離れなくなってしまうので、塗り忘れのないように注意します。
今回初めてシリコンという素材を使ったので、馴れるのに結構手間取ってしまいました。シリコンは硬化剤と混ぜる事で、化学反応により固まるのですが、この分量を間違うと、硬化しなかったり、逆に硬過ぎて型取りには不向きな質感になってしまったりします。本来はきちんと計測して使う物なのですが、私の先生が使っているうちに馴れるからと、目分量でやるように指示されたため、何度か失敗しながらなんとか使えるようにはなりました。
これで完成した型に、錫を流し込みます。長くなるのでその工程はまた次回。